1日に2つの国境を越えてEygipt(エジプト)のDahab(ダハブ)へ
早朝、僕はEgypt(エジプト)に向けて、Petra(ペトラ)を出発した。
この日、僕は、Jordan(ヨルダン)、Israel(イスラエル)、そして、
Egypt(エジプト)の国境を3つ越える。紅海にあるダイビングスポット、
Dahab(ダハブ)に向かうのだ。
最初の、Jordan(ヨルダン)のAquba(アカバ)からIsrael(イスラエル)の
Eilat(エイラット)の国境越えは、一度、通ってきた道だけに、勝手は何となくわかる。
でも、僕はイスラエル再入国の際に、またしてもMalaysia(マレーシア)滞在のことを聞かれて、
別室送りになった。と言っても、受付の隣のベンチに座って待てと命じられただけだけど。
途中で知り合ったブラジル人、南アフリカ人の旅行者は、そのまま難なく、パスしていった。
一緒にEilat(エイラット)のセントラルバスステーションまでタクシーをシェアしようと
言っていたのだけど、そこで別れることになってしまった。
20分後、僕は、スタンプを押されたパスポートを返された。
その後、僕はセントラルバスステーションまでタクシーに乗り、そこから、15番のバスに乗って、
Egypt(エジプト)国境のTaba(ターバ)を目指す。
もう一つの、Israel(イスラエル)のEilat(エイラット)からEgypt(エジプト)のTaba(ターバ)への
国境越えは、インターネットで調べたので、まず問題はないだろうと踏んでいた。
ところが、これもなかなかストレス度が高かった。
Israel(イスラエル)からEgypt(エジプト)のTaba(ターバ)への出国時、
Israel側の国境施設内の不適切なカウンターで両替をしてしまい、
40シュケル(約800~900円)を渡したのに、彼女が僕に渡したのは、
本来なら手に入るはずの金額の10分の1以下の5エジプトポンドだった。
最初は何かの勘違いかと思って確認をしたのだけど、相手の態度は非常に悪かった。
Israel(イスラエル)の国境施設で揉めるものどうか…、と思い、諦めた。
国境は徒歩で越える。
Egypt(エジプト)側では、Israel(イスラエル)以上に厳しい荷物チェックを受けた。
全部荷物を空けられて、一つ一つをゆっくりと手に取って、本質とは関係のない質問をされた。
30分ぐらいかけられただろうか。ほとんど嫌がらせの領域で、僕は、内心、かなりいらついた。
最後はパソコンとビデオカメラを持って、別棟の警察署まで連れて行かれた。
今度は警察官から質問をされる。
勝手にパソコンを開け、ビデオカメラをいじる。
3人いた若い警察官は、ただ日本の電化製品に興味があっていじっている、
そんな風にしか見えなかった。
1人だけいた年配の警察官が、「これらにGPS機能は付いているか?」と3回ほど聞いてきた。
そのチェックも30分程度で済み、僕は、晴れて出国の手続きを取ることができた。
Israel(イスラエル)が絡む国境越えは、何とも精神的に疲れる…。
面白くない出来事があった時、その経験から何を学べたか、引き出せる教訓だけを残して、
その出来事自体とはサヨナラするように努力している。なるべく尾を引かせないように、
そんな風に心がけている。もちろん、それが難しいこともあるけど。
今回の出来事を通して、僕は2つのことを感じた。
一つは、無理して、不健全に浮かせようとしたお金は、不健全な形で消えるのかもしれない、
ということだ。
Israel(イスラエル)で、僕はほとんど外食をしなかった。
Ibrahim(イブラヒム)さんの宿では、3食付いたこともあったのだけど、
それ以外では、Israel(イスラエル)では総じて物価が高いと言うこともあって、
外食するぐらいならと、昼ご飯をしばしば抜いていた。
でも、そうやって無理して費用を浮かせても、
結局は変なところでお金を失うのかもしれない。
僕は、体の声を聞くこと、そして、心が体と常に一緒にしていうことが大事だと
常々思っているしブログにも書いているけど、食事を抜くとは、その体を労わっているとは
言えないだろう。矛盾したことをしていたのだなと遅ればせながら気付いた。
お腹が減ったらお金を使って食べよう。ATM手数料のことを考えて、なるべく一度に下ろした
最低限の金額内でやりくりしようと心がけてがけていたこともあるのだけど…、
大事なのは、お金よりも体だ。
なんだか、とても当たり前のことを書いていて、恐縮してしまう。
もう一つは、僕は、多少、Egypt(エジプト)の悪い前評判に気圧されていたように思う。
そのせいもあって、国境で何かに焦るあまりに、心と体が離れていた。
Egypt(エジプト)は、旅のストレスが高い国としてIndia(インド)と比べられることが多い。
そんな評判に囚われていると、エジプト人がインド人に見えてきてしまう。
確かに似ているとは思うのだけど…。
これは、心理学的に言うと、“転移”という現象に近いかもしれない。
自分のIndia(インド)という国での経験を、まだ何も体験していないEgypt(エジプト)という国に、
あるいは、エジプト人に、そのまま当てはめて解釈してしまう。
その結果、最初から、自己防衛的に相手に反応してしまう。
そういう無意識のあり方は、相手の深い部分に敏感に伝わり、相手にも似たような反応を
引き起こさせてしまうのかもしれない。
そのせいもあって、僕には余裕が無かった。
例えば、両替なんて、隣国同士なのだからどこでもできるはずなのに僕は急いでいた。
荷物検査も、もっと余裕をもって、大らかに構えていれば良かった。
疚しいものなんて何一つ持っていなかったのだから。
そんなことを考えながら、僕はEgypt(エジプト)国境のTaba(ターバ)からDahab(ダハブ)行きの
出るバスターミナルまで歩いた。
バスターミナルまでは徒歩で10分ほどかかる。
僕は、しつこいタクシーの勧誘を振り切って、そこに向かう。
バスターミナルで、ノルウェー人と南アフリカ人の旅人と会う。
ノルウェー人の名前はオナ。52歳のジャーナリストだ。南アフリカ人の女性の名前はリゼル。
39歳で学校の先生をしていると言う。
Taba(ターバ)からDahab(ダハブ)までは3時間程度だと言う。
バスの中で隣同士に座った僕とオナは、いろいろ話をした。
ジャーナリストとしての彼の専門は殺人事件だそうだ。
記事を書くときには、取材をした人からのフィードバックを
とても大事にしていると話してくれた。
記事が出版された2日後に、必ず取材もとに電話を入れてその感想を聞くのだと言う。
「取材に応じてくれた人への感謝と思いやりを忘れずに、且つ、血の通った文章を
書き続けるために必要なことなのさ」
彼は僕にそう言った。
オナは、Egypt(エジプト)という国が大好きで、何度も訪れていると言う。
ノルウェーからフライトチケットが安いそうで、エジプトを拠点に中東、
北アフリカの国をしばしば旅するそうだ。
「ジャーナリストとしての感性を磨き続けるために、自分の国を離れて、
いろいろな文化や人々に接することはとても大事なことなんだ」
そして、人々がEgypt(エジプト)と言う国を、Egypt(エジプト)人を
誤解していることを残念に思っていると話してくれた。
「観光地を離れると、Egypt(エジプト)には、本当に親切で、
オープンな人が多いんだ」
Egypt(エジプト)がどれだけ素晴らしい国かと言うオナの話を聞きながら、
僕は、勝手にイメージしていた自分の中の尖がった“Egypt(エジプト)”の角が取れて、
優しく丸くなっていくのを感じた。
バスが終点に近づいた時、ノルウェーへの帰国が5日後に迫った彼は、
彼が持っていたガイドブック、最新版の“Lonely Planet Egypt(ロンリープラネット・エジプト)”を
僕に差し出した。
「君は、エジプトのガイドブックを持っていないと言ったね。
これは、僕からのGift(ギフト)だ。
良い旅を!」
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